好きになってもいいですか。
好きになってもいいですか。
人を好きになる、誰かに感情を抱くことに許可なんていらない筈だ。
しかし、なぜかその言葉が頭に浮かんだ。貴方はわたしには勿体無い人だからと。
貴方とわたしじゃあ余りにも違い過ぎてと何度も頭を抱え、落ち込み、涙したか。
今日もまた一人月に向かって声を震わせる。
わたしにとって貴方は月のような人だった。
眩しすぎる太陽と違って手が届くような錯覚をおかす。
しかしわたしは周りで輝いている星にすらなれない。
光らない星は誰も望遠鏡を使って見ようとなんてしない。
一人貴方の後ろ姿を見る度にせり上がって来る想いを嚥下して、必死に下へ下へと隠してきた。
今日も夜半冷えたベランダで声を震わせる。叶いもしない貴方が隣にいる事を夢見て。
そして独りごちるのだ。
とっくに好きになってることに気がついているのにね。